EFO(入力フォーム最適化)で会員数増加も?製薬企業で取り組む際のポイントを解説

EFO(入力フォーム最適化)で会員数増加も?製薬企業で取り組む際のポイントを解説

オウンドメディア運営ではSEOの必要性と同様に、「EFO(入力フォーム最適化)」も会員登録や問い合わせ・資料請求などの件数を増やすためには重要な取り組みです。せっかく医療従事者がサイトに訪れても、入力フォームが分かりにくかったり手間がかかったりすると、入力の途中でストレスを感じ離脱してしまう可能性が高まります。今回は、製薬企業のオウンドメディア担当者がEFOを実施するため、知っておくべき基礎的な知識を解説します。

EFO(入力フォーム最適化)とは?

EFOとは「Entry Form Optimization(入力フォーム/エントリーフォーム最適化)」の頭文字を取った言葉です。その名の通り、想定ユーザーが「お問い合わせフォーム」「会員登録フォーム」などに情報を入力しやすくすることで、CVR(コンバージョン率)の向上を図る施策です。EFOに取り組む際には、その他のオウンドメディア施策と同様にPDCAサイクルを回し、「実行→検証→改善」を繰り返します。

EFOでは、どのフォームのどこに問題があるのかを確認し、ユーザーの入力作業の妨げとなっている要素を改善していきます。効果的なフォームを設計することで、CVR向上につながります。

EFOが製薬企業のオウンドメディアにとっても重要な理由

オウンドメディアの運用は、コンテンツを閲覧したユーザーに資料請求やメルマガ登録などのアクションを取ってもらうことを主な目的としています。製薬企業であれば、会員登録や問い合わせを増やし医師との接点を作るなど、顧客情報を集めることがオウンドメディアの大きな目的の一つです。会員登録や問い合わせに直接つながるコンバージョンポイントである入力フォームの改善は、顧客である医療従事者の情報獲得・ニーズ把握へとつなげられます。

オウンドメディア上に掲載されている記事コンテンツなどは、ユーザーがコンバージョンに至るまでの途中経路の一つです。いくら良質なコンテンツを作って流入数だけを上げたとしても、入力フォームへの遷移方法がわかりづらかったり、入力・送信までの手間がかかったりすると、ユーザーの離脱率が上昇してしまうと考えられます。

離脱率が高い入力フォームとは?

離脱率が高いフォームの特徴について、「どういった点がユーザーにとってハードルになるのか」という観点から解説します。

1. レイアウト・デザインが分かりにくい

入力フォームのレイアウト・デザインはシンプルかつ分かりやすい設計にしましょう。
例えば、フォーム自体の幅が狭く視認性・可読性が低いと、「どこにどのような情報を入力するのか」「そもそも何のためのフォームなのか」がユーザーにとって判断しづらく、離脱の要因となります。

2. 入力必須項目が多い

製薬企業のオウンドメディアで医師向けの入力フォームを掲載する場合、勤務先や診療科などを問う設問を設けるため、どうしても必須入力項目が多くなる傾向があります。しかし、入力する情報が多くなればなるほど手間がかかるほか、エラーが表示される確率も上がりますので、医師がフォームにストレスを感じる確率は上がります。

3. エラー表示された際の原因が分かりにくい

フォームが送信できずエラーが生じた場合、「どの項目がエラーなのか」の表示が分かりづらいと、ユーザーの離脱率は上昇してしまいます。
例えば、「英数字は半角のみ」と決められた設問で全角入力をした場合にエラーが生じたとしましょう。エラーとなった該当項目が赤く表示されるだけでは、何かが間違っていることが分かっても、具体的に何を修正すべきかはすぐに判断がつきません。この場合、入力枠の周辺に「英数字は半角で入力してください」などの赤字を入れることで、エラーの場所・原因を把握できます。

製薬企業におけるEFOの施策例

ユーザーの入力率を向上させるためのEFO施策の具体例を3つ挙げます。

1. 入力フォームのレイアウトやデザインを最適化する

入力フォームのレイアウトやデザインは、想定ユーザー像に合わせて最適化しましょう。

例えば、医療従事者向けサイトは入力必須項目が多い傾向にあるため、「特定のカテゴリーごとにフォームをグループ化する」「ヘルプテキストをデフォルトで表示する」などの方法が考えられます。どのようにサポートをすればユーザーがスムーズかつ快適にフォーム入力ができるかを念頭に、レイアウトやデザインを決定します。

2. フォームの項目数を少なくする

前述の通り、医療従事者向けサイトの入力フォームは長くなりがちですが、入力するユーザーにとってはなるべく入力必須の項目数は少ない方が望ましいでしょう。できれば氏名や連絡先、勤務先の医療機関などの入力が容易な情報のみを必須とし、項目数を絞るとよいでしょう。

実際に、IT関連の分析データを多数公開している株式会社WACULの 調査 1) によると、フォームの入力項目数が少ないほどフォーム通過率が向上すると示されています。この調査での少なくすべき項目とは、必須項目数だけでなく、任意項目も含めた「全項目数」です。ユーザーにとって必須か任意かは関係なく、「そもそものフォーム上の入力項目数が多いとストレスが増加する」と理解できます。

3. アシスト機能をつけた動線設計をする

入力フォームにアシスト機能を実装することで、ユーザー側の負担を軽減できます。例えば、入力中にエラーが確認できるリアルタイムエラー表示機能を実装したり、エラーが起きても入力した内容が消えないようにしたりするとより効果的です。

ほかにも、未入力の項目数をカウントするガイドナビゲーション機能や、郵便番号から住所を自動入力する機能など、ユーザーの負担軽減に繋がる機能を積極的に取り入れると良いでしょう。

EFOの実施では専用ツールも活用しよう

EFOを検討する際には、ツールを導入するとより効果的です。具体的には、製薬企業のオウンドメディア運用でも使用頻度の高い「Googleアナリティクス」や「ヒートマップツール」が挙げられます。

Googleアナリティクスを使えば、入力フォームの離脱率が分かります。コンバージョンまでに入力フォーム送信を含む複数ステップがあるなら、どこを改善すればいいかの仮説を立てることが可能です。
さらに、ページ上でのユーザーの行動を可視化できるヒートマップなら、ユーザーのクリック率・滞在率が高い箇所を可視化できるため、ユーザーがフォームのどこでつまづいているのかなどが把握でき、より効果的な入力フォームの改善につなげられます。

そのほかにも、さまざまなEFO専用ツールがあり、EFOを効率的に行うための機能が実装されています。主に以下のような機能が挙げられます。

  • テンプレートによるフォーム作成
  • Eメールマーケティング
  • ユーザーのアクション(コンタクト)管理
  • LP(ランディングページ)作成
  • 住所自動入力
  • ガイドナビゲーション
  • 入力成功サイン
  • メールアドレスサジェスト
  • ログ解析

ツールごとにEFOに貢献する機能は異ります。自社の入力フォームの傾向や目的に合わせて、リソースや施策内容も鑑みつつ選定する必要があります。

EFOを実施して、CVRの上昇を図ろう

製薬企業のオウンドメディア運営では、SEOなどによる流入率・滞在時間の上昇を図るだけでなく、EFOを実施して問い合わせ率・会員登録率も向上させましょう。時間と予算を割いてオウンドメディアのコンテンツを制作したとしても、入力フォームにおける離脱率が高ければ、メディア運営の費用対効果は低くなってしまいます。
忙しい医療従事者でもストレスなく入力フォームに情報を打ち込めるよう負担を削減し、より使いやすいフォームに改善していきましょう。

<参考> ※URL最終閲覧2022/5/16
1)2019.6.14, WACUL, B2Bサイトのフォームにおけるベストプラクティス研究( https://wacul.co.jp/lab/b2b-form-best-practice/