【コラム】JMDC COOに聞く!“JMDCが向かう方向”

(株)JMDCのCOO杉田氏が、製薬企業におけるリアルワールドデータ(RWD)などデータ活用のヒントをお伝えする本コラム。
新年度になりましたので、今回はRWDというところから少し離れてJMDCの現在地や今後向かう方向というテーマで、私の想いを少しお話できればと思います。製薬企業の皆様からのニーズやRWD会社としてあるべき姿を考慮して、まだまだできていない部分を充足できるような形に進化していきたいと思っておりますので、そのあたりの考えをお伝えします。

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杉田:JMDCのCOOの杉田と申します。今月は「JMDCが向かう方向」というテーマでお話したいと思います。JMDCは設立後20年経ち、創業時よりリアルワールドデータを一貫して扱ってきた会社ですが、事業としてはここ5年で急速に拡大してきておりまして、今後の5年が非常に重要な時期であり、今後も加速的に様々な領域にチャレンジしていきたいと思っております。今日は製薬領域においてJMDCがどちらの方向に向かっていくのかをお伝えできればと思っております。

穴吹:製薬本部マネージャーの穴吹と申します。本記事では私がインタビュワーとなって、進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは早速ですがJMDCの向かう方向を教えていただけますでしょうか。

杉田:そうですね、一つ大きな方針としては、今JMDCではこれまでのデータベンダーという立ち位置からデータを主軸としたコンサルティング会社への変革を進めています。これまではリアルワールドデータそのものを提供するにとどまっていたところから、データを活用した課題解決であったりソリューションの提供まで行うというところに進化しようとしています。

その背景としては、いくつかあるのですが、一つには数多くの製薬企業にデータ提供を行なっている中で、まだまだ人数が多くないRWDの専門家の方々には積極的にデータ分析して活用していただけているけれども、その他の部署では通常業務が多忙な中であまり活用いただけていなかったり、そもそもデータの活用にどういうメリットがあるのかを明確に理解いただけていなかったりという場面に直面することがあります。

購入いただいたデータを活用するにあたっても、一定の経験値や成功体験、もしくは分析のケイパビリティやリソースが必要で、部署によっては活用すること自体のハードルが高いということを実感する中で、JMDCがデータを提供するだけではなく、データの専門家としてコンサルティングサービスとしてRWDを活用した課題解決を提供する方がよい場合があると感じています。その中でデータの持つ可能性やまたは限界という部分を製薬企業の方々にも徐々に理解いただき、その後は通常業務の中で効果的に使っていっていただけるようになれば理想的だなと思っています。

また、他の理由としては、RWD単独で可能な業務が限られているという点も挙げられます。例えばRWDを用いれば、特定の薬剤のターゲット患者数であったり、現在の薬剤シェアであったりという数字は弾き出すことができるのですが、その数字だけで完結する業務はなく、実際の業務としては、売上のデータを掛け合わせて競合の薬剤と比較をしたり、分析した数字の背景を理解するために医師にヒアリングをしたり、ということをされていると思います。それを踏まえると本当の価値はその部分まで含めないと出せないことになり、それはデータベンダーではなく、データを用いてコンサルをしないと踏み込めない領域にあると思っています。

―確かに製薬企業の皆様から様々な依頼をいただく中で、データ提供や分析した数値の提供だけにとどまらないケースも増えてきているという印象です。何か杉田さんの方でそういうことを実際に感じられる機会はありますでしょうか。

杉田:例えばこれまでですと、製薬企業側で売上の予測モデルを構築される中で、弊社にはその中で、現在の薬剤シェアの数値が知りたいとか、薬剤のアドヒアランスが知りたい、というご要望がメインでした。が、徐々に売上の予測モデル自体をレセプトデータを活用して精緻化してほしい、どれぐらいの頻度で見直せば良いかオペレーションもサポートしてほしい、というような要望も出てきています。

また最近増えてきているなと思うのは、RWD専門の組織を構築するのでインフラや業務分掌など含めその構築のサポートをしてほしいというような依頼もあります。この場合にはデータそのものは活用せず、JMDCの持つ分析オペレーションのノウハウであったり、データベース構築の知見であったりという部分をご活用いただく形になります。そういう意味でも少しデータベンダーからの脱却が進んできていると感じています。

―なるほどですね。コンサルティング会社への変革以外の大きな方針としてはどういう方向性を考えてますでしょうか。

杉田: 他に大きな方針としては、一定の規模のある製薬の周辺事業への進出を考えています。ここでいう周辺事業とは、例えばCROやオンラインマーケのプラットフォーム、CRMシステムなど製薬企業から見たときのいわゆるアウトソース先の事業になります。RWDはもちろん製薬事業そのものだけでなく周辺事業においても活用いただけるものですが、周辺事業では既存の進め方が強く定着しており、まだまだデータの活用が進んでいないと感じています。我々としては、データを用いることでそのあたりの効率化や精緻化にも自信がありますので、自分達自身の手でそのあたりの事業を手掛けることで、事業の進め方の改革をしていきたいと思っています。

―具体的に周辺事業においてデータをどのように活用していくイメージでしょうか。

杉田:既存事業で活用できる、データの強みとしてはいくつかありますが、一つには、例えばデータを見るとどこにどのような患者がどの程度存在するかがわかるという点があります。JMDCは1000万人分の患者データを持っていますので、日本の10分の1の縮図を持っていると捉えることができます。そうすると、データを分析すれば、例えば治験の被験者であったり、特定の薬剤のターゲット患者であったりがどこに集中しているかがわかりますので、そういった方々に効率的にアプローチすることができます。患者の多い特定の地域において医師の啓発や患者向けの広告をおこなったりすることで、効果的にそういった患者の掘り起こしをすることができます。

他にも例えばですが、データを時系列で分析することで、特定の疾患における病院ごとのトリートメントフローを分析することができます。学閥などの違いから医師や病院ごとに治療方針や処方傾向が異なってくる場合は多々ありまして、データを使うとどのような病院群とどのような病院群でどれほど処方の仕方が違っているのかを定量的に見ることができます。それを用いると、製薬企業としては、病院によってどうメッセージを変えて打ち出せば良いかなどマーケティングを精緻化することができます。

―そういった製薬企業にとってのアウトソース先である会社がRWDを使って事業を効率化しない理由は何なのでしょうか。

杉田:もちろん全ての会社がRWDを使っていないわけではないと思いますが、原則としてはシンプルに、事業の効率化が彼らにとっての売上の最大化につながらないという理由であったり、 そもそもやはりデータを持っていないがゆえにデータの利活用という発想には至らないという理由であったりすると思います。

私としては、製薬の業務を効率化していくこと、臨床試験の期間を短縮したり、創薬のプロセスを効率化したり、患者啓発を含めたマーケを促進したりすること、は、ひいては、薬価の引き下げにより高騰する医療費の抑制につながったり、適切な薬剤のローンチが早まったり、医師の処方レベルの底上げにつながったりすることで患者さんが適切な医療を受けられるようになる、という点から、なんとしてでも進めていきたい領域と思っています。

―ありがとうございます。それでは今回もこのあたりで終了とさせていただければと思います。次回もよろしくお願いいたします。

▷記事提供元はこちら(JMDC REAL WORLD)