製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ【2022年3・4月版】

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2か月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2022年3月・4月を対象に最新動向をまとめました。

※調査対象の企業は2021年5月にミクスonlineに掲載された20年度販売会社ベース企業売上ランキング(出典:IQVIA)より抜粋した19社。50音順にリストアップ

【2022年3月・4月サマリー】
製薬業界DX/マーケティング最新動向

  • 情報発信、疾患啓発にSNSを利用する動きが広がっている。アストラゼネカは、新たに公式FacebookとInstagramを開始し、企業の取り組みを積極的に発信していく。また、早産児の保護者を対象にRSウイルス感染症対策をサポートするため「SmallBaby.jp」のLINE公式アカウントも開設。

  • 患者向けの治療サポートにアプリを活用する企業が多数。エーザイは、ソフトウェア企画・開発会社であるArteryex株式会社を子会社化し、画像データからの入力技術・システムを活用した新たなアプリなどのプロダクト開発を推進する。武田薬品工業は、エムティーアイが運営する健康情報サービス『ルナルナ』および女性と医師をつなぐサポートツール「ルナルナ メディコ」を活用したフォン・ヴィレブランド病の疾患啓発における連携を開始した。

  • 研究開発や患者の治療向上などのためデータの利活用に注力する企業が増えている。中外製薬は、データクラウドプラットフォーム “Snowflake”を医療・ライフサイエンス分野においては国内で初めて利用を開始し、同社のデジタル・IT基盤と連携させることで、全社で利活用できる解析環境の整備を進める。日本ベーリンガーインゲルハイムは、国内レセプトデータなどのリアルワールドデータを活用して日本の全身性強皮症および全身性強皮症に伴う間質性肺疾患の罹患率と有病率を推定した結果を発表。リアルワールドデータから得られた新しい知見を活かし、研究開発や治療向上に向けた取り組みをより一層進めていくとしている。

■アストラゼネカ株式会社

公式FacebookとInstagramを開始

2022年3月31日

アストラゼネカは、3月22日より公式Facebookアカウントを、3月30日より公式Instagramアカウントを開設した。以前より開設していたLinkedInアカウントを含め、3つのソーシャルメディアプラットフォームを通じて、アストラゼネカのカルチャーを醸成する会社全体の取り組みや、まだあまり知られていないサステナビリティやイノベーションを含めた取り組み、ビジネスの根幹となるサイエンスの取り組みなどを積極的に発信する。投稿を通じて、「ヘルスケアを超えて社会に貢献するサイエンス志向のリーディングカンパニー」を目指すアストラゼネカへの理解を一般の方々に深めていただく。

https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2022/2022033101.html

早産児の保護者を対象に、LINE公式アカウント「SmallBaby.jp」による情報提供サービスを開始

2022年4月5日

アストラゼネカは、在胎37週未満で生まれた早産児の保護者を対象にRSウイルス感染症対策をサポートするため「SmallBaby.jp」のLINE公式アカウントを開設。当アカウントを通じ、RSウイルス感染症についての情報や流行状況、通院リマインダーなど育児生活に役立つ情報を発信する。本サービスは、トランスコスモス株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役社長兼COO:奥田昌孝)が有するLINEを活用した独自開発APIプラットフォーム「DEC Connect(デックコネクト)」を介し、それぞれの患者さんに適した情報を配信、通院リマインダーなどコミュニケーションのデジタル化を可能にした。疾患の情報や感染症流行状況などの情報を保護者が手軽に入手する環境を提供し、育児で忙しい保護者へ通院のリマインドをサポートすることでRSウイルス感染症の重症化する乳幼児を少しでも減らすことに貢献したい考え。

【「SmallBaby.jp」LINE公式アカウントのコンテンツ例】

  • 通院スケジュールを管理
  • RSウイルス感染症流行状況
  • 早産児の育児に関するお役立ち情報を配信

https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2022/2022040501.html

■エーザイ株式会社

デジタルソリューションビジネスの基盤強化と迅速な拡大をめざしたArteryexの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2022年4月1日

エーザイは、医療情報プラットフォームの提供をはじめとしたデジタルソリューションに関するソフトウェア企画・開発会社であるArteryex株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:李東瀛、以下 Arteryex)について、株式買取ならびに第三者割当増資の引受けによって過半数の株式を取得し、2022年3月31日付で子会社化した。
Arteryexを子会社化し、同社が持つ開発能力ならびに優良なPHR(Personal Health Record)プロダクトを獲得することで、デジタルソリューションビジネスの基盤強化と迅速な拡大を目指す。既存のプロダクトのさらなる利用者拡大に加え、同社の画像データからの入力技術・システムを活用した新たなアプリなどのプロダクト開発を推進する。また、当社の創薬活動や疾患啓発活動で実践してきたデータマネジメントのノウハウを生かし、PHR関連プロダクトを通じて取得するデータについて利活用を進める。

https://www.eisai.co.jp/news/2022/news202225.html

■武田薬品工業株式会社

エムティーアイの『ルナルナ』と武田薬品が希少疾患の疾患啓発で連携を開始

2022年4月19日

武田薬品工業と株式会社エムティーアイは、エムティーアイが運営する、ライフステージや悩みにあわせて女性の一生をサポートする健康情報サービス『ルナルナ』および女性と医師をつなぐサポートツール「ルナルナ メディコ」を活用したフォン・ヴィレブランド病の疾患啓発における連携を開始した。
フォン・ヴィレブランド病(以下「VWD」)は、血液中にあるフォン・ヴィレブランド因子というたんぱく質が欠乏したり、はたらきに異常があるため出血が止まりにくくなる病気。疾患自体の認知度が低く受診に至りにくいことや、医師の間でも認知の差があることで正しい診断がつかないなどといった課題も存在していることから『ルナルナ』と「ルナルナ メディコ」を通じて患者さん、医師それぞれに情報提供を行う。
患者さんは『ルナルナ』アプリから受診・相談サポートを行える「ルナルナ メディコ」内に設置した武田薬品提供のチェックリストを用いて、月経異常・止血異常のセルフチェックに回答し、VWDの可能性について確かめることができ、VWDの可能性がある場合は、医療機関への受診が促されるとともに、武田薬品が運営するVWDに関する情報サイト「フォン・ヴィレブランド病.jp」が案内され、より詳しい疾患の情報や対処法を知ることができる。

https://www.takeda.com/ja-jp/announcements/2022/mti/

■中外製薬株式会社

中外製薬、Snowflake導入により、保有データの全社利活用を加速

2022年4月21日

中外製薬は、スノーフレイク(所在地:東京都渋谷区、社長執行役員:東條 英俊)の提供するデータクラウドプラットフォーム “Snowflake” の利用を開始した。
Snowflakeは、ガバナンスとセキュリティを担保し、部門やプロジェクトを超えて最新のデータを利活用できるクラウドベースのデータプラットフォームで、データクラウドを通じて企業や組織が内外の膨大なデータを効率よく蓄積・分析・活用できるよう支援している。
今後は、各部門やプロジェクトが保有するデータをSnowflake上で統合し、中外製薬のデジタル・IT基盤Chugai Scientific Infrastructure(CSI)と連携させることで、全社で利活用できる解析環境の整備を進めていく。これにより、データガバナンスの強化、セキュリティリスクの低減およびコスト削減が期待している。

https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20220421150000_1209.html

■日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

リアルワールドデータの活用で、日本の全身性強皮症(SSc)および全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)の罹患率と有病率が明らかに1)

2022年4月6日

日本ベーリンガーインゲルハイムは、国内レセプトデータなどのリアルワールドデータを活用して日本の全身性強皮症(SSc)および全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)の罹患率と有病率を推定した結果を発表した。
SScは皮膚および全身性(多臓器)の広範囲にわたる線維化を特徴とする複雑な自己免疫疾患。この研究では、健康保険レセプトデータベース(JMDC)を用いてSScとSSc-ILDの有病率および罹患率を推定し、更に病院診療レセプトデータベース(MDV)とJMDCを用い、SScおよびSSc-ILDの患者特性並びに使用薬剤を評価した。結果、SScおよびSSc-ILD患者の使用薬剤では、各免疫抑制薬の使用割合が15%未満とSScおよびSSc-ILDに対して十分な治療が行われていない実態が明らかとなった。
日本ベーリンガーインゲルハイムは、リアルワールドデータから得られた新しい知見を活かし、研究開発や治療向上に向けた取り組みをより一層進めていく。

1) Kuwana, M., Saito, A., Sakamoto, W. et al. Adv Ther (2022).
https://doi.org/10.1007/s12325-022-02078-5

https://www.boehringer-ingelheim.jp/press-release/20220329_01