医薬品デジタルマーケティングへの提言01|リアルからデジタルへシフト加速、スピード感と個別化がカギ

医薬品デジタルマーケティングへの提言01|リアルからデジタルへシフト加速、スピード感と個別化がカギ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、あらゆる産業に構造変化を迫っている。かねてから製薬産業では、MRなどの人的リソースの最適化、販売情報提供活動ガイドラインの運用、医師の働き方改革などの影響もあり、変革期を迎えていた。

そんな中、COVID-19の広がりは製薬企業のマーケティングやセールス活動にどのような影響を与えるのか、業界有識者へのインタビューを通じて提言する。第1回目は、コンテンツ開発やマーケティング・オートメーションを手掛けるメディクト代表取締役社長の下山直紀氏。「スピード感をもってデジタルチャネルやツールを活用・運用していくことが、企業の競争力を高める」と指摘する。

デジタルチャネルの活用で対応が分かれる

―― 製薬企業は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応をどのように進めていますか?

新型コロナウイルスの影響で医師への対面営業・訪問がさらに難しくなり、リモートで医師に情報提供する手段やツール活用の検討が進んでいる。動きが早かったのは大手製薬企業。会員制のオウンドメディアやメールマガジンやペイドメディアといったデジタルチャネルを活用し、マーケティングやセールス活動のデジタルシフトを一層強めている。

一方、デジタル化が遅れ、「医師に情報を届ける手段が、現場以外に乏しい」企業は、対応に苦慮している。本社主導で設備投資や施策を広く展開し、情報提供の個別化、さらにMRへの引継ぎとコミュニケーションフローの変化が求められる。スピード感をもって実行しないと、ますます先行組との差が開くことになる。

長期化を要する状況だからこそ、短期で実行できる手段を模索し、デジタルを活用するための設備の拡充や情報提供の仕組みづくりに着手すべきと考える。

コンテンツに関して言えば、新規でコンテンツの制作が難しいことから、過去コンテンツの流用が増えている。医師のデバイスも多様化しており、1つのコンテンツを様々なチャネル向けに広く活用することも選択肢となる。結果として、過去に視聴していない医師にリーチできる可能性がある。

―― 一方、情報の受け手となる医師の時間は限られていると思いますが。

コンテンツを増やし、デジタルチャネルを使って各社が情報を大量に届ければ、医師は取捨選択を迫られる。自分にとって最適な情報かどうかを判断することになるので、情報の出し手となる製薬企業は、個々の医師に最適化した情報を届ける必要がある。以前はMRが担当医師の関心や専門性を踏まえてコンテンツを紹介することも可能だったが、今後はデジタルだけで完結させる仕組みが求められる。

MRからの情報提供が途絶えた今、情報が入手できずに困る医師が増えている
(関連情報: https://www.ssri.com/press_release/2020/03/27/20200327/
確実に製薬企業からの情報ニーズは高まっているので、ただ漫然と配信するのではなく、きちんと情報を見てもらうためにマーケティングの個別化を考えるべきだろう。

―― 具体的にどのように取り組むべきですか?

データとツールの連携が重要になる。Webサイトやメールマガジン、Webセミナー、ペイドメディアなど様々なデジタルチャネルにおける行動データ、メールマガジンの開封率、検索ワードなどの顧客のアクティビティと属性データを紐づけて分析し、顧客ごとにニーズや関心の仮説を立てる。その仮説を基に、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)やMA(マーケティング・オートメーション)といったデジタルツールの運用計画を立て、コンテンツ配信や情報提供のPDCAを回していく必要がある(図1)。

「集客/情報配信」、「評価/育成」、「営業管理」、「顧客管理」といった目的に応じてデジタルツールを使い分ける。この時、各ツール間でのデータ連携を十分に進めるために、顧客のID管理を統一することが重要となる。

ツールを導入しただけではデジタル対応は進まない

―― 御社はMAを手掛けていますが、効果的な活用とは?

様々なチャネルから収集した顧客データを集積・分析し、顧客を分類、最適な情報を個別に出し分けるツールがMAだ。

例えば、オウンドメディアの場合、医師の興味関心、立場、専門性、訪問回数、流入元などに応じて顧客をセグメントし、セグメント別に届けたいコンテンツを分類し、提供する。セグメントはターゲット医師に準じて設定するケースが多い。

実際にコンテンツを配信し、視聴回数や時間などによって顧客にスコアを付け、スコアが高くなるように育成していく。初回訪問で400点、再訪で500点、あるコンテンツを見たら600点といったようにスコアを設定し、目標のスコアに達したら、「企業が届けたい情報が届いた」と評価する(図2)。その後は、再度別のコンテンツをレコメンドしたり、MRに通知して現場でのディテーリングにつなげたりする。

もちろん、簡単にはこちらの意図通りにコンテンツを見てくれない。そのために、事前のシナリオ設定が重要になる。動画に対するシナリオ、アンケートに対するシナリオ、メルマガ開封に対するシナリオなど、医師の行動に合わせて複数のシナリオを用意し、トーナメント式に分岐する仕組みを構築する(図3)。Webセミナーに対する反応でも、演者のネームバリューに反応する顧客もいれば、内容に反応する顧客もいる。開封率や閲読率からこうした傾向を分析し、次のシナリオへとつなげていく。実際には100通りくらいシナリオを作り、毎月、その優劣を判断するなど、PDCAを回してシナリオを最適化していく必要がある。

―― 新型コロナウイルスの影響もあり、デジタル化や個別化への対応は待ったなしの課題となりつつあります。製薬企業はどのような対応が求められますか?

ツールを導入するだけでなく、その後の運用を見据えた体制の構築や人材育成が必要だ。MAに限って言えば、自社運用の体制、人員、スキル、経験が不足してるため成果が上がらない、専任スタッフがいないためにメルマガ配信ツールにとどまっている、という課題をよく聞く。

レコメンドの頻度や配信タイミングなどは医師に迷惑と思われないようなルールが必要だし、コンバージョンを高めるコンテンツの分析、定期的なシナリオ改善などが求められる。こうした運用を進める上で、医療業界に対する一定の専門性や経験も必要となる。ノウハウのある外部ベンダーとの協業も検討しながら、スピード感をもったデジタル化への対応が企業の競争力を高めることになるだろう。

―― 新型コロナウイルスの影響もあり、デジタル化や個別化への対応は待ったなしの課題となりつつあります。製薬企業はどのような対応が求められますか?

ツールを導入するだけでなく、その後の運用を見据えた体制の構築や人材育成が必要だ。MAに限って言えば、自社運用の体制、人員、スキル、経験が不足してるため成果が上がらない、専任スタッフがいないためにメルマガ配信ツールにとどまっている、という課題をよく聞く。

レコメンドの頻度や配信タイミングなどは医師に迷惑と思われないようなルールが必要だし、コンバージョンを高めるコンテンツの分析、定期的なシナリオ改善などが求められる。こうした運用を進める上で、医療業界に対する一定の専門性や経験も必要となる。ノウハウのある外部ベンダーとの協業も検討しながら、スピード感をもったデジタル化への対応が企業の競争力を高めることになるだろう。


[PR]メディクトが提供する製薬企業向けマーケティングオートメーションサービス「B to D」

製薬企業向けに開発された「BtoD」はツールを提供するだけでなく、デジタルマーケティングのコンサルティング、設置に向けての各種設計、設置を専門スタッフが代行することで導入企業様の負担、時間軽減、効果的な活用をサポート。導入後の効果測定や改善提案、コンテンツの更新作業の代行などにも対応する。外資系製薬企業医師向けサイト、外資系製薬企業疾患専門サイト、内資系製薬企業医師向けサイトへの導入が進む。

    <特徴>
  • 製薬企業使用向けに最適化されたインターフェース
  • パッケージ化による費用、負担、時間の軽減実現
  • 精度の高いスコアリング、シナリオ設計
  • 運用開始時の運用サポート設置
  • 豊富な連携、協業体制

マーケティングオートメーションサービス「BtoD」
資料ダウンロードは以下フォームをご記入ください

ダウンロードできる資料の内容

 デジタルマーケティングへの期待
 データを活用したマーケティング手法
 デジタルマーケティングの全体像
 デジタルマーケティングのプロセスと仕組み
 医師を1IDで管理する
 オウンドメディアとの情報提供分担によるメリット
 データドリブンマーケティング
 マーケティングオートメーションツールとは
 「BtoD」とは
 MA活用概念図
 「BtoD」の特徴
 実現すべきデジタル戦略の全体像
 株式会社メディクト会社紹介


<取材協力>
株式会社メディクト
代表取締役 下山 直紀 氏